『西安徒然』城壁の上の満月の夜に・・・

あれはレゲエ?

音楽の区別もおぼつかない

大音量の屋外ステージを後にして

城壁の外周りの公園をつたってゆく

あれはやっぱりポップ?

ドントギブアップという歌声が私たちをはげましているようで 笑えた

だんだん遠くなっていく歌声は、ビルの間の、丸くて低い月を見つけてかき消された

すごく綺麗な満月!!

月を見上げて立ち止まってみる

なぜかちょっと勇気のいることのように思える

城壁を照らす、かすかな光の公園の中をゆく

今宵もすごい人だかりの観光地

“永兴坊”にむかう

今夜、いったいどのくらいの人があの月を見て感動するのだろう?

そんなことを想いに、人々の影に振り返っては、道をすすむ

わあああー

人だらけ

食だらけの場所に人だらけ

ぶつかる

ぶつかられる

前をみなくちゃ

犬を連れたゴミあさりのおじさん

あっ警備員が追ったね

“優しく誘導してるみたいだよ”

そうかじゃあよかった

屋根と屋根の間に、さっきより高くのぼった月が見えた

“凉皮食べてみようか”

観光地価格だね

微辣は観光客用なのかあまり辛くなかった

外人って分かったのかな

だから少なくしてくれてるのかな

“もうこんな時間”

城壁の上に高くのぼる月が見えた

女性3人組の観光客がそれぞれスマホを月に向けている

うれしそうに

わたしもなんだかうれしくなって

スマホを月にむけてみた。

『西安徒然』イケ麺妻

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